【合格体験記】2024年度HCD-Net認定人間中心設計専門家に認定されました!

2025年3月31日、「【HCD-Net合格発表】2024年度HCD-Net認定HCD専門家・スペシャリスト試験 合格発表のお知らせ」というメールを受信しました。ドキドキしながらリンクを開き、受験番号が「HCD-Net認定人間中心設計専門家」の一覧に掲載されているのを確認。思わず声が出るほどの安堵と喜びがこみ上げてきました。

この度、私は無事に2024年度HCD-Net認定人間中心設計専門家として認定されました。本記事では、受験までのプロセス、書類作成のポイント、感じたこと、そしてこれからの展望についてまとめます。同じ試験を目指す方や、HCD(人間中心設計)の実践に取り組む方にとって、少しでも参考になれば幸いです。


■ HCD-Net認定人間中心設計専門家とは?

HCD-Net(特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構)が認定する資格制度で、HCDの知識と実践力を備えた専門家としての能力が評価されます。認定には、豊富な実務経験とその裏付けとなるドキュメント提出、さらに専門家としての視座が問われる筆記試験が課されます。

特に「HCD-Net認定人間中心設計専門家」は、人間中心設計の実務経験を持ち、組織やプロジェクトにおいてHCD手法を導入・推進してきた人材が対象となります。


■ 受験に向けた準備と覚悟

この試験を受けることを決めたのは、自分のこれまでの実務経験を体系的に振り返り、HCDの観点から再整理したいという思いからでした。日々の業務のなかで、ユーザー視点を取り入れた設計や検証、チームでの合意形成といった実践をしてきたつもりではありましたが、それらを第三者に説明できるレベルで「見える化」することは、思った以上に難しく、かつ学びの深いプロセスでした。


■ 書類審査:最も骨の折れるプロセス

HCD-Net認定人間中心設計専門家の審査で最も重要なのは、「審査書類の作成」です。

この書類では、以下のようなポイントを押さえる必要があります:

  • 3~5件の実プロジェクト経験を選定・整理
  • HCDの20のコンピタンス項目(知識・技能・態度)に対して、それぞれ具体的な実践内容を記述
  • 「どのように判断し、実行したか」という自主的な判断プロセス
  • 定量的な成果(例:ユーザビリティ指標改善、業務効率化率など)
  • 組織へのHCD手法導入実績とその影響

私の場合、特に力を入れたのは「プロセスの透明化」と「自分の役割の明確化」でした。単に「プロジェクトが成功した」という事実だけでなく、そのなかで自分がどのような判断をし、どんな工夫をし、周囲にどのような影響を与えたかを、ストーリーとして記述することに注力しました。

また、関係者からのフィードバックや、ユーザーテスト結果、プロジェクト後の業務改善成果などの定量データを可能な限り添えることで、信頼性のあるドキュメントとなるよう心がけました。


■ 合格の鍵は「経験の棚卸し」と「メタ認知」

この書類作成プロセスを通して感じたのは、自分の実務を客観的に俯瞰し、意味づける力=メタ認知力が問われているということでした。

たとえば、「ユーザー調査を実施した」という事実だけでは弱く、それがなぜ必要と判断し、どう実施し、何を得て、どのように次のフェーズに活かしたか、という一連の判断・行動の連鎖を明示する必要があります。

これはある意味、HCDプロセスそのものを自分に適用する行為であり、まさに「HCD専門家にふさわしいかどうか」を問う審査だと感じました。


■ 合格発表と今後の展望

2025年3月31日、合格発表メールを受信し、Web上の専門家一覧に自分の受験番号が掲載されているのを確認した瞬間は、本当に感慨深いものでした。書類作成や提出後の不安、確認のための何度もの読み直し、周囲への相談…。それらが報われたと感じる瞬間でした。

今後は、認定専門家としての自覚を持ち、組織やプロジェクトにおけるHCD推進だけでなく、業界へのナレッジシェアや人材育成にも貢献していきたいと思っています。

また、今回の経験を活かして、より戦略的にHCDを取り入れたプロジェクト設計や、経営層との共通言語の構築にも取り組んでいく予定です。


■ さいごに

HCD-Net認定人間中心設計専門家の資格取得は、単なる「肩書き」ではなく、自らの経験と学びを体系的に整理し、次の成長へのステップを明確にするプロセスそのものでした。

この資格に興味のある方には、ぜひ挑戦をおすすめします。書類作成は大変ですが、自分のキャリアを「見える化」する貴重な機会となり、HCDという視点がより深く自分の中に根づくことと思います。

今後も、人間中心設計の価値を伝え、実践していく一人として歩んでいきます。